大坂真理子
コピーライター・年齢不使用(!?)
ある仕事を通じて主宰者と知り合い、現在に至る。
歌舞伎とサッカーしか楽しみがない人生。それでも幸せ。
水瓶座・O型。
二十六幕目 第一場 「夏、自転車競技」


しばらくぶりの再開です。

昨年の10月末くらいから、下顎骨骨髄炎(または下顎膿瘍 という診断)という病気にかかってしまい、
少し鬱々とした日々 を過ごしていました。
少しなのか、とてもなのか、憂鬱な日々が過ぎ、今年ももう11月。
約1年ぶりの更新ということになります。

連鎖という言葉があるように、人は「躁」であれ「鬱」であれ、そのスポットに呑み込まれてしまったら、そのスポットの流れとともに生きる しかないのです。
そうして、もう1年近く、私の場合はあまり良 いことのない人生なんだけど、
かといって、この鬱やら陰湿やらとともにこれからずっと生きていきたいわけじゃない。
そんな、ちょっとだけポジティブな思考がときに幸せを運んできてくれます。

この夏、私は自転車レースにはまってしまいました。

自動車じゃなく、自転車。チャリですよ。
サイクル・ロード・レース。

7月、ツールドフランスの初日。
何を思ったかテーブルにはバゲットとチーズ、ワインがセットされています。
なんなんですかね。このカタチから入る性格。まー、いつもこんな感じなもので。

今年に入り、自転車レースはBGV代わりにちょこっと見ていたりします。
ですが、昨年の夏の終わり、ツールの表彰台で見つけた可愛い男の子を探し当てられません。
そう、あの…白いシャツを着た可愛い男の子。

あれ、彼は走っていないのかな? ツールドフランス以外、走らないのかな?
昨年もツール以降は見ていません。
こんなのググればすぐにわかりそうなものですが、今回に限ってそういうこともせず。
逆に言うと、まだその程度の興味。
けれど、ツールの表彰台で見つけたのだから、ツールは走るかもしれないよね…と、
開催初日のチームプレゼンテーションを楽しみに待ちます。

プレゼンテーションがはじまり、何組目かの紹介のとき…。
……。いたっ!!! 見つけました。
しかも、なんと、SAXOBANKというチームのエース扱いで出てきました。

あの可愛い男の子が??
なんかちょっと違う雰囲気になっている。大人っぽい??
でも、まぎれもなく彼だ。

そう、カワイイのです。若い選手なんです。
きっかけはこんなものですよ。
久々に王子様キタ〜〜♪と思っていたのですよ。いいトシして浮かれ気味に。
ところが、これが…とんでもない天然野郎で……。
いろいろと紐解いてみると、あれやこれやとくだらないエピソードが満載君なのです。

言いたかないけど「やってもうた」に関しては、かなり高レベルにある私をも遥かに凌ぐ凄まじさ…。
類は友を呼ぶとかはナシでひとつ、カンベンしてください、サクソバンクのエースさん。

それでも、そんなかんなも観戦モチベーションの一つとなり、
ますますツールドフランスを見る楽しみが加速していったわけです。

さて、肝心なレース。
こちらは行ったことのあるフランスの街や欧州の知っているあちこちを
ビジュアルとして見るのが楽しくて、その気になったようなものです。
フランスの地図を引っ張りだし、グーグルアースで追いかけたりして。
ところがところが、このチャリ連中、チャリをこぐスピードがハンパないのですわ。
もう、地図やMacがこんなにすぐ側にあるというのに、こちらの目が追いつかないったらありゃしない。

………。やーめた。バカらしい。レースに集中しよう。
そして、街や景色を楽しもう。

このように開き直り、バゲットとチーズ、ワイン片手にテレビ観戦を続行の日々です。
ところがところがツールドフランスったら、何日目かのステージで突然 「山」へと
突入していくわけですよ。 街を抜け出して。

………。もー、つまんなーい。つまんないよー山なんて。
なんも景色変わんないじゃん。Cityを走ろうよ。

しかし、見るものないからジィーーーーーーと見てしまうわけですよ。
仕方なく。
山をえっさえっさと登る選手を。

凝視。

すると、なんなんでしょ?! 山のほうが何十倍も面白いではないですか?! 
街なんて平地なんて比べ物にならないくらいツボなんですよ。
しかもお気にの選手は山に強い。
見はじめた頃とは180度変わるかのように変貌してゆく自分自身の興味の対象。

なんなんだー、この楽しさは?????
わくわくわくは??? どきどきどきは??? 止まりません。

山岳サイコっー!

こうして、めっきりとのめりこんでしまったのです。この夏、自転車競技に。

二十六幕目 第二場 「紅葉と欧州の風」

動機は不純でも、好きになったら真剣です。

自転車競技はレースの駆け引きや戦術が面白い。チーム戦術なんです、
ちゃんと。
そして、さらに面白いのが、プライバシーもないかのようなさらけ出しっぷり。
だって、1日の行動パターンを自転車に乗りながらやってしまうような状態なんですよ。
食事にしろ、トイレにしろ。
こんな競技ってアリ?!
さらにさらに、体脂肪がひと桁だという、あの肉体。
1日200km前後を走り通す驚愕の肉体。絶対に人間じゃない。………。
なんて興味深いのでしょう。
しかもみんな、体毛剃りあげちゃっているからつるっつるっ。

超面白いのですよ、自転車競技は。

10月25日、日曜日。

日本でもこの超面白いレースが開催されるというので行ってきました。
なんとしても「生」を感じてみたかった。

嬉しいことにサクソバンクの選手も来日します。
お気に入りの天然君は一度来日が決まりかけましたが、早々とシーズン終了したためキャンセル。
想定内です。サクソバンクには他に魅力的な選手がいっぱいいるので無問題。

開催地は栃木県宇都宮市。
鶴カントリーというゴルフ場の側、古賀志林道一帯を使って行なわれます。

ロードレース「第18回ジャパンカップ」。

鶴カントリーへは2度行ったことがあるのですが、走れるようなところあったか?
とりあえず山っぽい雰囲気だけど??
サクソバンクに限らず、欧州の一線級選手がこぞって来日するのに、
鼻であしらわれちゃうようなコースなんじゃないの??
ヤツらの相手はピレネー、アルプスだよ。
いろいろと心配もしてしまうのですが、まずは行くしかない。

当日は始発の新幹線で現地入り。
初観戦ですが、Jリーグのアウェイ遠征に慣れているものだからなんのその。準備もバッチリです。

幸いなことに観戦パートナーもおります。

同じサッカーチームを応援する女性なのですが…10数年来の自転車ファンなので知識満載、
なんでも聞いてOKよ状態。まっ白だった私のキャンパスに色を塗り重ねるサポートをしてくれています。
うーん、いや…違うな。彼女は勝手に塗りたくってゆくのか (笑)、それほどの勢い、
天から知識が降ってくる状態です。
それを私が自分色に塗り込めてゆくという感じ。
だからこそ、厚塗り状態です。
フェルメールの「小径」みたく、キャンバスの上に筆を鏝にして家を建てるがごとく。

そんな彼女も生観戦は初ということもあり、お互いテンションはMAX。もう一名、
やはり初参戦の男性とともにわーわー、きゃーきゃーとアッという間に過ぎてゆく楽しい時間。

生のレースは、速い・細い・短い。
味わった感想は、こんな風に非常に単純な、たった3つのフレーズで片付けられてしまいます。
けれども中身は凝縮されている、たいへん味わい深い美味しさでした。

ちなみに、速いはもちろん自転車が駆け抜けるスピード。そして私たちの時間の過ぎてゆく速度。
細いは選手のカラダ。短いはレースの時間。

周辺の山々は静かに色づきはじめ、穏やかな佇まいを見せているというのに、
レースのその瞬間は華やかなフェスタのよう。

日本の山に、一瞬だけ駆け抜けた欧州の風。

まことに美しいひとときでした。

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