松添聖史
第1東京弁護士会所属 50期。
現在、イギリスに本部のあるフレッシュフィールズ法律事務所に勤務。
酔ったところを某イベントディレクターに捕獲され、コラム執筆に至る。
まぁ、内容が内容だけに固い話になりがちですが、お付き合い下さい。
まぁ、実際の仕事、酒飲み話などに少しでも役立てばと思います。
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著作権とは何?

1.著作権とは

「著作権」とは、簡単にいえば、「著作物」を独占的に利用できる権利、ということになります。

この著作権ですが、前回の商標権とは異なり、「著作物」さえ創作すれば、登録などしなくても、基本的にその著作権を創作した人は、著作権を取得することが出来ます。

つまり、自分で作品を作る人にとっては、自分の作品が「著作物」なら、その著作権を持っていることになります。逆に、人の作品を利用する場合、その作品が著作物なら、著作権の問題が発生することになるのです。

2.著作物とは

著作権法によれば、著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です(著作権法2条1項1号)。

著作権法が、著作物の例としてあげているのは以下のようなものです(著作権法10条)。

小説、脚本、論文、講演、音楽、舞踊、無言劇(パントマイムなど)、絵画、版画、彫刻、建築、地図、学術的な性質を有する図面、模型、映画、写真、プログラム

たとえば、この文章も著作物ですし、このHP上にあるイラストは全て著作物なのはもちろん、幼稚園児が書いた絵だろうと、小学生の作文だろうと全て著作物なのです。

逆にあなたがドラえもんの絵を描いたとしても、それは単なる真似ですから、著作物ではありません。あなた独自の作品でなければならないのです。

(著作物の創作性)
独自の絵なら著作物とはいっても、著作権は創作的な表現の保護ですから、創作性のないもの、言い換えれば誰が表現しても同じようにしかならないものには、著作物性が認められません。

極端な話、あなたが○を書いたとしても、そんなものは誰が書いても同じなので、○は著作物になりません。判例上も「本誌はこの号でおしまいです。永い間のご愛読に感謝します。」という文章だけでは、著作物ではないという判断があります(東京地裁H7.12.18 知裁集27.4.787)。

3.著作権の内容(著作物の独占的利用)

さて、売れっ子イラストレーターのKさんが、かわいい花のイラストを書いたとしましょう。例えば、Kさんのイラストは花屋の看板にぴったりかもしれません。あるいは、レターセットに印刷して売り出せるかもしれません。

いずれにしても何か利用するためには、Kさんのイラストをほかの物体(看板やレターセット)に複製する必要があるでしょう。そこで、著作権法は、著作物を複製できるのは、著作権者だけであるとしたのです。これによって、事実上、著作物の利用は、著作権者だけが出来るということになります。

そのため、Kさんのイラストを利用したい人、つまりイラストを複製したい人は、著作権者であるKさんの許可を得なければなりません。Kさんの許可を得ずに勝手にあなたのイラストを何らかの形で複製した人に対しては、Kさんは、

1.その複製を差し止める(やめさせる)ことが出来る(差止請求権)と共に、

2.損害賠償を請求することが出来るのです。

また、著作権といった場合には、このような経済的な利用だけでなく、著作者の人格的利益(著作物に他人が手を加えないとか、公表する自由など)を守る側面をさす場合があります。このような人格的な権利については、特に、「著作者人格権」と一般に言われます。

4.著作権者

さて、このような著作権を持っている人を、著作権者といいます。著作権者は、原則として、その著作物を作った著作者です。ただ、著作権は譲渡することも出来ますので、必ずしも著作者が著作権者であるとは言い切れないのです。

それでは、会社の仕事で作ったイラストや、文章の著作権者は誰なのでしょうか?

著作権法上、会社の従業員が会社の命令に従って、著作物を作成した場合で、その著作物を会社名で公表した場合には、その著作物の著作者は会社ということになります(著作権法15条1項)。その場合もちろん著作権は会社が持っているわけです。

それとは違い、会社からの依頼を受けて、外部の人が著作物を作る場合はどうでしょうか?

残念ながら、この点については学者の間でも見解が分かれている部分であって、簡単に論じることは出来ません。個人的には、一応の目安として、単なるアイデア・コンセプトだけでなくその著作物を表現するにあたって、具体的な指揮・監督を会社が行う場合、会社の名前で公表された著作物の著作者は、会社になると考えています。

ただ、それでは結局著作権者が誰かは不明確ですので、実戦的には、

1.契約書に明記する。契約書がない場合であっても、頻繁に仕事をする会社との間などでは、書面で著作権の帰属について合意しておくのが確実です。

とはいえ、なかなか力関係上、自分に著作権をくれとは言いにくい事が多いでしょう。その場合

2.著作物の公表に際し、自分の名前をつけてもらうようにします。会社が著作権を取得するには、「会社の名前で公表」する必要がありますから、自分の名前で公表されれば、著作権者は会社になりません。

かといって、「自分の名前で公表してくれ」といった場合、鋭い会社は著作権に気づき、やっぱり力関係上苦しくなる場合もあるでしょう。そこで

3.イラストやデザインの一部であるかのように、©マーク(自分の名前と、最初に公表される年を付けます。)を付けておくのです。「一部であるかのように」がポイントです。©マークごと公表されれば、あなたが著作権者であるという主張も認められやすいと思います。

この©マークですが、現在は、条約上、多くの国でつける必要がないとされています。現在©マークをつけなければ著作権が保護されない国としては、以下のとおりです(平成12年4月現在)。まぁ、本当に国名なのか、聞いたことないのもあるかもしれませんが・・・
カンボジア、ラオス、バングラデシュ、サウジアラビア、アンドラ ニカラグア、ベリーズ、アゼルバイジャン、カザフスタン、タジキスタン
そんなわけですから、特に©マークをつけなければならないインセンティブは低いわけですが、まぁ著作者名を表示する大義名分としてはよいのではないでしょうか?

著作権は、これまで説明したとおり、その著作物を独占的に利用する非常に強力な権利です。デザイン・イラストなどの著作権を誰が取得するのかは非常に重要なわけです。著作権の帰属には、十分注意してください。

さて、著作権の基礎はこのような感じです。ここまでわかれば、後は問題の「他人の著作物は、無断でどこまで利用できるのか?」ということですね。 たとえば、皆さん図書館で、本や雑誌のコピーを取りますよね。でも、よく考えれば、本も雑誌も著作物です。コピーをするってことは、本という著作物を複製していることになるわけですよね。でも、特に著作者の許可を得ずに、みんなコピーしているわけです。このように、実際、著作権が問題になるのは、今回お話した基礎的なことではなく、その例外の範囲なのです。

 

ということで、次回からは、この例外の範囲について説明します。

 

ここがわからない、とか、こんな問題が起こったとか、全てには対応できないかもしれませんが、お気軽にmail下さい。お金は取りませんから、ご安心を。


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