松添聖史
第1東京弁護士会所属 50期。
現在、イギリスに本部のあるフレッシュフィールズ法律事務所に勤務。
酔ったところを某イベントディレクターに捕獲され、コラム執筆に至る。
まぁ、内容が内容だけに固い話になりがちですが、お付き合い下さい。
まぁ、実際の仕事、酒飲み話などに少しでも役立てばと思います。
ご意見ご質問等はmatsuzoe@infoseek.jp まで


明けましておめでとうございます。
このコラムをご覧頂いていた皆様、長い間更新をサボってしまい、大変申し訳ありませんでした。
昨年夏以降気が付けば、明け方まで仕事をしている有様で、
労働基準法って何なんだ?という問題すら考えるひまがありませんでした。
この間、驚くほどの各方面から叱咤激励を頂き、ありがとうございます。 
正月からの風邪も癒え、なんとかコラム再開です。

パロディ

気を取り直して、今回はパロディについて考えます。

まず、パロディとは何なのか?ということですが、法律風に考えれば、「他人の著作物に、手を加えて新しい著作物をつくること」と言えます。ただ、パロディの特質としては「他人の著作物を利用していることを、見ている人にわざと認識させることで、パロディ作品を作った人の思想(ギャグなり風刺)を伝える」ということを忘れるわけにはいきません。

結論から言います。よく「パロディだから」などといってパロディを正当化する意見が見られますが、上の法律風の定義である「他人の著作物に、手を加えて新しい著作物を作ること」がパロディである以上、他人の著作物を勝手に利用していることになりますから、その「他人」に無断でパロディ作品を作ることは、著作権の侵害です。
したがって、「パロディだから」という理由は、少なくとも現在の著作権法との関係で言えば、著作権侵害に対する言い訳にはなりません。昔流行った、嘉門達夫の「替え歌メドレー」も、レコード化の際、元歌の権利者の承諾を採るのが大変だったというような話を聞いたことがあります(確か「徹子の部屋」かなんかで言ってたような。曖昧な話でごめんなさい)。

問題は「パロディだから」という言い訳の理由です。これは、最初に言ったパロディの特質である「他人の著作物を利用していることを、見ている人にわざと認識させることで、パロディ作品を作った人の思想(ギャグなり風刺)を伝える」と言う点にあると思います。つまりパロディ作品は、他人の著作物を使うことではじめて成立する作品なわけです。他人の著作物を使えないと言うことは、承諾がない限りパロディは作ることが出来ないことになり、この結論に納得できない方もいるはずです。

私自身も、パロディというのは大好きですし、表現形式としてのパロディは必要なものだと思います。しかし、逆の立場に立ってみてください。自分が一生懸命作った作品、例えば女の子をターゲットに商品化される話があるキャラクターが、女の子が嫌がるような下品なパロディの題材に使われたとします。これが許されないと言う結論に反対する方はいないのではないでしょうか。

結局、「パロディ」というだけで許されることは認められません。ただ、「パロディ」という表現形式は古来からずっと続いているものであり、「パロディ」の作成については何らかのルールを作っていく必要はあると思います。これは、法律家よりもクリエイターの方々(著作物を使う側と使われる側)で一定のルールを模索していく以外、現実としての道は無いのかもしれません。

 

今回は、今後の議論の余地ある問題ということで、あまり法律的な話にはしませんでした。私自身は、著作者と著作物の利用者との間をどのように調整するかというのが、著作権法の本来の目的だと思います。ただ、最近の法律家の動きとしては、著作者の権利保護の観点が重視されている反面、実際の著作者の方々はあまり権利意識が無い、という日本の現状が、なかなか議論が進まない原因かもしれませんね。このコラムが、少しでも現状の改善につながればと思います(じゃあ、もっと更新しろということですね。はい、分かりました。。。)

 

ということで、恐縮したまま、更に恐縮しますが、連絡先のe-mailアドレスが、気付かぬ間に使用不能になってました。matsuzoe@infoseek.jpになったようです。こんな問題を取り上げてくれなど、気楽にメールしてください!


バックナンバー|第1回第2回第3回第4回 第5回




E-mail:mail@ryosgraphic.com