文・イラスト/つじむらあゆこ


その4 スペインの食事

スペインの食事は、一日5回とも言われる。朝はカフェ・コン・レチェ(ミルクコーヒー)かチョコラテ(ココアというよりも、まさにチョコレートを溶かした飲み物)などに、パンやマドレーヌやビスケットなどを食べたりもする。チュロス(揚げ菓子)も朝食べることが多いようだ。

11時ごろには、仕事をしている人は休憩をとって、バル(カフェ&居酒屋)でコーヒー飲んだり、ボカディージョ(スペイン風サンドイッチ)か何かちょっとつまんだりする。


そして昼食は2時くらいからゆっくりとり、量もたくさん食べる。たいてい2皿あって、その後にデザートや果物などを食べ、最後にコーヒーを飲んだりする。1皿目はサラダ、前菜、スープなど。スープと言ってもたくさん具の入った、シチューほどのボリュームのものもある。2皿目は肉や魚などが多い。この時間は、いわゆるシエスタの時間で、バルやレストランを除いてほとんどのお店は閉めてしまう。そして食後にはしばしシエスタ(昼寝)を取る人もいる。でも、若い人や都会では、この習慣も無くなりつつあるようだ。

そして夕方、またバルなどで、一杯飲んだり何かつまんだりする。アンヘリータは家で近所の友だちとお茶を飲んでおやつを食べたりしていたようだ。

夕食はやたら遅くて10時11時はあたりまえだ。量も少なく、テレビを見ながら軽く食べるだけのようだった。ただ、若い人や子どもは、ちょっと違うのかもしれない。わたしの知っている若い人は、夜も普通の食事をしていた。
アンヘリータ家の食事は、朝はフランスパンにバターとジャム。それとお鍋でぐつぐつ熱くしたカフェ・コン・レチェ。フランスパンはカリカリに焼いてあって、口の中が痛いほどだ。

昼はちゃんと2皿あって、かなりのボリュームがある。ただ面倒なのは、1皿目を食べ終わると、それぞれが自分のお皿を持って台所に行くのだ。そして2皿目の料理を別のお皿に、またそれぞれ盛ってもらい、自分の席にもどる。そしてデザートの時も同じで、その後のコーヒーも同じように、それぞれが台所に取りに行かなくてはいけない。外のテーブルで食べている時なんて、いちいち台所にもどるのでけっこう面倒だ。

夕食は、わたしたち外国人用に、普通の夕食をだしてくれていた。でも、冷凍食品のフライが多くて、夕食にはあまり手をかけてはいなかった。

そして、アンヘリータは土曜日のお昼に必ずパエーリャを作った。週末に出かけようとすると、食事を家で食べないの?!間に合うように戻ってきなさい!という感じで、週末は家族がみんなでいっしょにパエーリャを食べないといけないのだろうか???結局それはよくわからなかったけど、週末には家族が集まって食事をとることは多いようだった。


●余談その1 ヤカンがない?
ステイ先を何度か変えたけど、実はやかんを見かけたことがない。
最初にステイした家では、電気でお湯を沸かすポットだった。保温性はないもので、沸かして終わりというものだ。
その次に住んだ家では、鍋で湯を沸かしていた。その次の家ではレンジにポットを直接入れて沸かしていた。
これにはびっくりしたが、後で日本でもこうやってお湯を沸かしてる人の話を聞いたので、そんなに変なことではないのかもしれない。
その後訪れた何軒かの家庭でも、やかんを見かけたことはない。スペインの台所には同じようなフライパンは何個もあるのに、なんでやかんがないのでしょうね。

●余談その2
エンリケ家で初めて食事をした時のこと。
「アユコー、夕食だよー。」とエンリケに呼ばれたのでキッチンに降りていったら、テーブルにはナプキンやフォークやナイフが並べられて夕食の準備もほとんどできていた。
「じゃあ、席はここで、これが アユコのナプキンリングだから覚えといてね。この横にスジが入ってるヤツね。」
「うん、わかった。」
わかったとは言ったものの、なんでそんなこといちいち言うんだろうと思った。
そして、その布ナプキンを膝にのせて食事が始まり、もちろん口元はナプキンでふき、ナプキンの上にパンくずもぽろぽろこぼして食事は終わった。
そして食べ終わったとき、なんとみんなは、その使ったナプキンのパンくずを、テーブルクロスの上でパタパタとはらい、それぞれのナプキンリングに丸めてはめて、引き出しにしまったのだった。えっ?口元ふいて汚れてるのに?洗わないの?と思いつつ、しかたなくわたしもそうした。そして、その布ナプキンは、ほぼ一週間使い続けられたのだった。
その時まで、ナプキンリングって食べる前テーブルに並べる時のみに使うもの、ナプキンは毎回洗うものだと思っていた。なので、どれがだれのでもいいんじゃないの?と思っていたのだ。
紙ナプキンを使っている家も多いのだが、布のナプキンを使っている家は、1週間くらい使うのは当たり前のようだった。そう、これがはじめてのカルチャーショックだったかもしれない。それからは、汚れをふくものなのにナプキンを汚さないように気を付けるようになったのは言うまでもない。

つじむらあゆこ
1964年11月22日生まれ イラストレーター
子どもや女性の絵を、雑誌、書籍を中心に、かわいい感じやワクワク感を大切に描いています。
ちなみに、ただいまの目標は結婚です。
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